
dカードがGoogle Payに対応したので「クレカ乗車」を試す
やっとdカードがタッチ決済に対応した。
これまでAndroidスマホでdカードを使うには、iD決済となる「d払いタッチ」しか選択肢がなかったのだが、2026年6月12日からGoogle Payに対応し、クレジットカードとしてのタッチ決済が可能になった。

そこで、dカードをGoogle PayにセットしたGalaxy Z Flip7を手に、クレジットカードによるタッチ決済乗車——いわゆる「クレカ乗車」を試してみることにした。
クレカ乗車は、関東や関西でJRを除く複数の鉄道事業者で相互乗り入れ区間を含めたサービスが順次開始されており、名古屋鉄道(名鉄)でも2024年3月から実証実験が行われている。以前は有人改札口のカウンターに専用端末が置かれるだけで小心者にはハードルが高かったが、いよいよタッチ決済対応の自動改札機への置き換えが始まったというわけだ。
2026年7月現在で対応しているのは、名鉄名古屋や金山、中部国際空港、東岡崎など13駅相互の乗車である。ただし、専用端末を備えた自動改札機は1つの改札口に1台程度なので注意したい。

名鉄の自動改札機にGalaxy Z Flip7を「差し込む」
クレカ対応の改札機を観察すると、QRコードリーダーと切符(磁気券)投入口の間に、タッチ決済用の専用端末がやや陥没する形で設置されている。

iPhoneならアンテナのある背面上部を斜めに突っ込めば良さそうだが、Androidスマホは機種によってNFCアンテナの位置が異なる。愛用する折りたたみスマホGalaxy Z Flip7の場合、折りたたんだ際の底面(下半分の中央付近)にアンテナがあるため、改札の凹みに「差し込む」というか、ピッタリ「はめ込む」ような独特のかざし心地になる。

さらにソフト面でも落とし穴があった。タッチ決済は支払時の画面ロック解除が必要だが、最初に試みた犬山駅ではそのことを忘れていたので入場に手間取ってしまった。かざす前に確実にロック解除しておくのが無難だ。
この手間を軽減すべく、Google Payには「交通機関に限って本人確認を省略する設定」がある。Apple Payのエクスプレスカードに相当する機能だ。画面オフのまま通過できるこの設定を済ませたところ、次の下車駅である神宮前ではスムーズに出場できた。

「スムーズ」と言っても、反応速度は交通系ICカードよりワンテンポ遅い。決済音も「ピッ」ではなく「ピロロン」(異論は認める)と少し長めに鳴る。本人確認を省略した設定であれば交通系ICとほぼ同じ感覚で動けるが、リーダーの設置位置の関係上、現時点で立ち止まらずノンストップで通過するのは難しく感じる。後続の利用者がいる状態で利用するのは、少々リスキーだ。
履歴表示の裏側にいた「黒幕」:"Q-move" "stera transit"とは何者か
このブログではモバイルSuicaなどの利用履歴表示に注目してきたが、クレカ乗車の場合はWebサービス「Q-move(キュームーブ)」で履歴を確認する。会員登録をした上で、実際の画面を見てみよう。

Q-moveの画面上部には登録者氏名が表示され、複数カードの使い分けも可能だ。履歴は日ごとにまとめられ、事業者名、入出場駅、時刻、運賃が記録される(バスの場合は乗車バス停のみ)。
Q-move上の表示はリアルタイムだが、取引明細は1日分まとめて翌朝配信される仕組みだ。下図の左が名鉄(2026年7月4日乗車分)、右が近鉄(2026年7月18日乗車分)だが、途中で意図せず様式が変更されていた。明細にある見慣れない「TAP TO RIDE JAPAN W」は、西日本の鉄道・バス事業者が決済をまとめる共通の加盟店名とのこと。事業者間での乗り入れ区間も含め、履歴表記のパターンは多岐にわたるようだ。

このQ-moveの正体を調べてみると、三井住友カードなどが運用するプラットフォーム「stera transit(ステラ・トランジット)」の心臓部であることが分かった。開発・運営はQUADRAC(クアドラック)株式会社。利用者がQ-moveに未登録であっても、クレカ乗車の運賃計算や決済処理はすべてこのシステム上で行われている。三井住友カードやジェーシービーらが各国際ブランドを巻き込んで構築した巨大インフラを陰で支える「黒子」といえる存在だ。

交通系IC vs クレカ乗車。2026年夏の現在地
交通系ICカードは事業者にとって導入・更新コストが高いという構造的課題があり、小規模な事業者を中心にクレカ乗車を選択する事例が増えている。この一端を捉えて「交通系ICからクレカ乗車への移行がトレンド」とする拙速な論調もあるが、今春や来春に交通系ICカードを新規導入する事業者や、一度取りやめた対応を再開する事業者もあり、勢力図は一筋縄ではいかない。
クレカ乗車対応の改札機はICカードや磁気券との一体型へ移行しつつあるが、後続客のプレッシャーの中でこの新しい手段を選択するには、まだしばらく「勇気」が必要というのが2026年夏時点での実感だ。
こうした規格争いは、性能や利便性以上にプロモーションや還元施策で勝負が決まることが多い。しばらくは交通系ICに加えてクレカ乗車の設定をしたスマホをポケットに忍ばせ、過渡期ならではのキャッシュレスの旅を楽しみたい。









































